Nature ハイライト

生物地球化学:春の奔流

Nature 603, 7899

米国ノースダコタ州タニスの白亜紀末の堆積物から発見された、ヘラチョウザメ類の魚類の頭部化石。
米国ノースダコタ州タニスの白亜紀末の堆積物から発見された、ヘラチョウザメ類の魚類の頭部化石。 | 拡大する

Credit: European Synchrotron Radiation Facility

今回、恐竜の時代を突然終わらせたチクシュルーブの衝突が、北半球の春に起こったことが示された。この知見は、北米の白亜紀最後の堆積物において、津波に起因する突然の河川の逆流の痕跡の中に並んで発見された、濾過摂食性のチョウザメ類およびヘラチョウザメ類の大量死の遺骸群集の分析により得られたもので、これらの魚類の鰓耙には衝突で生じた岩屑が見つかったが、それより先の消化器系には岩屑は見られなかった。骨の成長を調べた結果、これらの魚が死んだのは春であったことが示唆された。チクシュルーブの衝突が北半球の春に起きたことが、その後の生物相の繁栄に直接影響を及ぼした可能性がある。

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