Nature ハイライト
材料科学:炭素同位体の拡散の画像化
Nature 603, 7899
走査型透過電子顕微鏡(STEM)と振動電子エネルギー損失分光法(EELS)を組み合わせると、試料の化学組成に関する情報を高い空間分解能で得ることができる。しかし、STEM–EELS法の空間分解能はこれまで、数百ナノメートルが限界であった。末永和知(大阪大学)たちは今回、この手法を用いて炭素の2つの安定同位体12Cと13Cを識別し、その拡散をサブナノメートルの分解能でマッピングしている。彼らはまず、純粋な13Cグラフェンに亀裂を形成して透過電子顕微鏡(TEM)でその位置を画像化し、次に、12CをTEMチャンバー内の残留ガスの形で導入し、新たなグラフェンドメインの成長をモニタリングした。試料を加熱すると、グラフェンマトリックス内で12C原子の拡散が観察された。
2022年3月3日号の Nature ハイライト
物性物理学:磁性トポロジカル物質
加速器物理学:プラズマ粒子加速器の進展
物性物理学:シリコン上に形成されたトポロジカルナノドメイン
材料科学:炭素同位体の拡散の画像化
エネルギー科学:全ペロブスカイトタンデム太陽電池で新記録
地球科学:冥王代の水和した不均質なマントル
生物地球化学:春の奔流
社会科学:温暖化を抑える要因
神経科学:広域の機構による特異的なニューロン配線の調節
神経変性疾患:FTD/ALS関連バリアントとTDP-43の結び付き
微生物学:肺の微生物相と脳の自己免疫の結び付き
免疫学:重症COVID-19の炎症病態にはcGAS–STING経路が関与する
自己免疫疾患:多発性硬化症の一卵性双生児不一致例研究
細胞生物学:低用量メトホルミンの作用機構
がん:複数のがんに効く薬剤の組み合わせを探す
ウイルス学:構造から判明したラッサウイルスの受容体認識機構
構造生物学:NALCNチャネロソーム複合体の構造と機能