Nature ハイライト

宇宙:継続時間の短いバーストは星の合体で生じる

Nature 438, 7070

継続時間の短いガンマ線バーストは、現在の星形成とは関連せず、中性子星とブラックホールの衝突や中性子星どうしの衝突の際に発生しているとする考えを裏付けるさらなる証拠が得られた。そしてバーストの一部は、近傍銀河で発生しているらしい。  継続時間の長いガンマ線バースト(2秒以上継続するバースト)は、非常に大質量の星が超新星爆発を起こす際に発生するが、もっと継続時間の短いバーストの起源は謎であった。しかしNASAのスウィフト衛星やHETE-II衛星による最近の観測と、バーストに引き続いて行われた地上や宇宙からの望遠鏡による研究で、継続時間の短いガンマ線バーストは、中性子星など極端に高密度の天体どうしが衝突して発生している可能性の高いことがわかってきた。  S Barthelmyたちは、NASAのスウィフト衛星が7月24日に捉えたガンマ線バースト(GRB050724)を解析し、そのX線残光の位置を特定した。そして、銀河までの距離を確定したカリフォルニア大学バークレー校のグループのスペクトルを使って、その放出エネルギーが継続時間の長いバースト、つまり超新星に対して予想されていたよりもかなり小さいことを突き止めた。彼らはX線残光が楕円銀河と関連していることを示す可視光画像も発表している。  E Bergerたちは、楕円銀河の外縁部に可視光および近赤外領域の残光を発見した。その場所では星形成が起きていないことから、残光の起源が超新星であるとは考えにくい。Bergerたちはまた、継続時間の短いガンマ線バーストからの電波領域の残光を初めて発見した。さらにこの残光と可視光および近赤外線の観測結果から、このバーストがプラズマの爆発に由来し、このプラズマは継続時間の長いバーストのものと概ね同じ形状をしているものの、総エネルギーは10分の1から1000 分の1しかないことを示した。  2004年12月27日に発生した大規模なガンマ線およびX線のフレアを観測した最近の成果と、継続時間の短いガンマ線バーストの位置を特定したスウィフトの成果をもとに、N Tanvir たちは、NASAのガンマ線観測衛星「コンプトン」に搭載したBATSE検出器で観測された継続時間の短いバースト400例について改めて解析を行った。そして、これらのうち10〜15%は、比較的近傍の銀河と相関があることがわかった。これらのバーストは、2004年12月27日に発生したフレアのような現象で発生する可能性はあるものの、おそらく継続時間の短いバーストの分布における低エネルギー成分であると考えられる。

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