Nature ハイライト

生物多様性:気候変動で聞こえてきたカエルの悲鳴

Nature 439, 7073

地球温暖化は感染症の拡大を推し進め、両生類の広範な絶滅を引き起こしている。新たな研究により、コスタリカのモンテベルデに生息するフキヤガエル属の一種(Atelopus sp.)が見られなくなったことと、海面温度および気温変化の間に強い相関があることがわかった。  J A Poundsたちは、伝染病と地球温暖化の関係を明らかにすることに取り組んだ。そして、温暖化が引き金となった、病原性のツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis)の大量発生と、このカエルの絶滅が直接関連することを明らかにした。Atelopus属の約110種類のカエルの67%が、同様の運命にあると推定されている。  Poundsたちは、地球温暖化がアメリカ大陸熱帯地域における雲の生成を加速しており、日中の気温を下げる一方で夜間の温度を上げていると考えている。これはツボカビの最適成長条件であり、ツボカビは低温下で病原性が強くなり、湿度が高いと致死性がより高くなる。今回の研究は、地球温暖化が種の絶滅を既に引き起こしつつあり、また気候変化によって広がる伝染病が生物多様性に対する差し迫った脅威であることを示している。

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