Nature ハイライト

Cover Story:心臓を目指す:心臓保護薬の標的となるC 反 応性タンパク質

Nature 440, 7088

C反応性タンパク質(CRP)は炎症性の疾患や感染の臨床的マーカーであるが、損傷を受けた細胞にも結合し、血清タンパク質の宿主防御機構や炎症誘発機構にかかわる補体を活性化する。補体を介する炎症は心臓発作では組織傷害を悪化させ、また、急性心筋梗塞ラットモデルではヒトCRPが補体依存的な機構により損傷を増大させる。これらの観察は、CRPが心臓保護を目的とした薬剤の標的となる可能性を示している。そこで、M B PepysたちはCRP特異的に働く低分子阻害剤を設計した。表紙のX線結晶構造のように、パリンドローム構造をもつこの化合物5分子は、向かい合わせに並んだ2つの五量体CRP分子に結合する。この阻害剤は急性心筋梗塞を起こさせたラットにおいてヒトCRPのマイナスの影響を抑えることから、心臓発作を起こした患者にはCRPを阻害する初期治療が有効となるかもしれない。[Letter p. 1217; www.nature.com/podcast]

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