Nature ハイライト 宇宙:巨大惑星がもつ自転軸傾斜の謎 2006年4月27日 Nature 440, 7088 木星や土星、天王星、海王星といった巨大惑星の自転軸がなぜ傾斜しているのかを説明する新しい理論を、A Bruniniが提案している。 太陽系のすべての惑星は、多かれ少なかれ自転軸が傾斜している。つまり惑星は、傾いた軸のまわりを自転しているので、惑星の赤道は公転面上にはない。地球のこの自転軸の傾斜角、つまり「赤道傾斜角」は約23度で、これが季節変化を生じる原因となっている。 地球程度の大きさをもつ惑星の自転軸傾斜角は時間変動しているので、現在の値をとるようになった経緯は謎ではない。しかしもっと大きい惑星の自転軸傾斜角は安定しており、つまりその惑星が形成される際に決まったと考えられる。だが、どのようにその値をとるようになったのかは不可解な問題とされてきた。 自転軸傾斜角は、木星の約3度から天王星の約97度までいろいろだが、これらの巨大惑星が太陽系内を移動して現在の軌道をとるようになった際に、巨大惑星どうしの重力相互作用による特定の過程を経て自転軸傾斜角が定まったのではないかとBruniniは考えている。巨大惑星はこの移動で、その形成場所から遠く離れたところに落ち着いたらしい。Bruniniは初期条件をさまざまに変えて、若い巨大惑星の動きの計算機シミュレーションを行った。そしてそのほとんどで、巨大惑星の自転軸傾斜角は現在の観測値に非常に近い値となったのである。 2006年4月27日号の Nature ハイライト 認知:ムクドリはヒト言語の「文法」がわかる? 医学:危険がないわけではない 宇宙:巨大惑星がもつ自転軸傾斜の謎 材料:曲げれば曲げるほど硬くなる 細胞:胚性幹細胞に似た精巣細胞 目次へ戻る