Nature ハイライト
Cover Story:衝突実験:探査機DARTの衝突による小惑星の衛星の軌道変化
Nature 616, 7957
今のところ、地球を脅かす小惑星は知られていないが、そうした天体との衝突に対する地球防衛戦略が探られている。2022年9月26日、米国のNASAとジョンズホプキンス大学応用物理学研究所は、そうしたアプローチの1つの検証に成功した。「二重小惑星進路変更実験(DART)」ミッションの探査機を、小型の小惑星ディディモスを周回する衛星であるディモルフォスに意図的に衝突させ、その結果、この衛星の軌道が変わったのである。今週号では、5報の論文でこの試験と衝突の影響が調べられている。最初の論文では、この衝突が再構築され、2報目では、衝突によって生じたディモルフォスの軌道の変化が調べられている。3報目では、ハッブル宇宙望遠鏡による、衝突時に放出された物質の観測結果が報告されている。4報目では、モデリングを用いて、衝突に起因する運動量の移動の特性が評価されている。そして最後の論文では、衝突前、衝突中、衝突後における市民科学者による観測の結果が報告されている。
2023年4月20日号の Nature ハイライト
物性物理学:二次元の重い電子系におけるの量子井戸状態
電子デバイス:スケーリング限界を超えるInSe系トランジスター
化学:疎水性ポケットを持つ触媒によるキャッチ・アンド・リリース
無機化学:ランタノイドとアメリシウムを分離する
化学工学:プラスチック廃棄物の熱分解の制御によるモノマーの生成
進化学:エイの巨大な胸鰭の起源
がん:EBVとゲノム不安定性の関連
神経科学:扁桃体が報酬学習を進める仕組み
化学生物学:クロマチンインタラクトームの変化を追跡する新手法
生化学:タンパク質とペプチド間の配列特異的な結合を計算で設計する
構造生物学:赤痢菌がガスダーミンを無力化する仕組み
構造生物学:GSDMBが形成するポアの構造とポア形成活性の調節機構