Nature ハイライト
化学生物学:クロマチンインタラクトームの変化を追跡する新手法
Nature 616, 7957
生体分子間の相互作用は全ての細胞過程の基盤となっており、細胞運命を制御している。こうした相互作用が遺伝子の変異や発現レベルの変化、あるいは外的刺激によって乱れると、細胞生理が変化して、疾患または治療効果へとつながることになる。今回D MacMillanとT Muirたちは、核タンパク質間の相互作用をマッピングするための近接依存性標識法について報告している。この方法では、改変したスプリットインテインを用いて、光反応性イリジウム触媒を痕跡なく核内の標的タンパク質に取り込ませ、光触媒作用により生成された反応性カルベンで近傍の微小環境中のタンパク質を架橋する(著者らは、この過程をμMapと名付けた)ことで、インタラクトームを明らかにできる。このμMapは、核内のタンパク質間相互作用についての理解を深めるとともに、エピジェネティック創薬分野に大きな影響を及ぼすと考えられる。
2023年4月20日号の Nature ハイライト
物性物理学:二次元の重い電子系におけるの量子井戸状態
電子デバイス:スケーリング限界を超えるInSe系トランジスター
化学:疎水性ポケットを持つ触媒によるキャッチ・アンド・リリース
無機化学:ランタノイドとアメリシウムを分離する
化学工学:プラスチック廃棄物の熱分解の制御によるモノマーの生成
進化学:エイの巨大な胸鰭の起源
がん:EBVとゲノム不安定性の関連
神経科学:扁桃体が報酬学習を進める仕組み
化学生物学:クロマチンインタラクトームの変化を追跡する新手法
生化学:タンパク質とペプチド間の配列特異的な結合を計算で設計する
構造生物学:赤痢菌がガスダーミンを無力化する仕組み
構造生物学:GSDMBが形成するポアの構造とポア形成活性の調節機構