Nature ハイライト

化学生物学:クロマチンインタラクトームの変化を追跡する新手法

Nature 616, 7957

生体分子間の相互作用は全ての細胞過程の基盤となっており、細胞運命を制御している。こうした相互作用が遺伝子の変異や発現レベルの変化、あるいは外的刺激によって乱れると、細胞生理が変化して、疾患または治療効果へとつながることになる。今回D MacMillanとT Muirたちは、核タンパク質間の相互作用をマッピングするための近接依存性標識法について報告している。この方法では、改変したスプリットインテインを用いて、光反応性イリジウム触媒を痕跡なく核内の標的タンパク質に取り込ませ、光触媒作用により生成された反応性カルベンで近傍の微小環境中のタンパク質を架橋する(著者らは、この過程をμMapと名付けた)ことで、インタラクトームを明らかにできる。このμMapは、核内のタンパク質間相互作用についての理解を深めるとともに、エピジェネティック創薬分野に大きな影響を及ぼすと考えられる。

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