Nature ハイライト
Cover Story:ポップコーン惑星:潮汐加熱で大気が膨張した系外惑星
Nature 630, 8018
表紙は、おとめ座の方向、地球から約200光年(61パーセク)離れた位置にある、海王星ほどのサイズの系外惑星WASP-107bの想像図である。この惑星は、質量は海王星とほぼ同じにもかかわらず、密度は木星や土星よりもはるかに低いという特徴があり、これが研究者たちの間で疑問となっていた。今週号ではL Welbanksたちが、このような小さな惑星の核が、なぜこれほど大きなガスの外殻を持ち得るのかについての説明を提案している。著者たちは、この謎を解明するために、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)に搭載されたNIRCamとMIRIの赤外線分光データ、およびハッブル宇宙望遠鏡に搭載されたWFC3の赤外線分光データを使用した。その結果、WASP-107bは内部温度が高いことが示され、これは、WASP-107bが親星を周回する際に描く偏心軌道が潮汐加熱を引き起こして大気を膨張させていることを示唆している。
2024年6月27日号の Nature ハイライト
惑星科学:WASP-107bのメタン存在量で明らかになった核の質量と内部構造
機械学習:200以上の言語に対応できるニューラル機械翻訳技術
フォトニクス:超小型で超低コストのチタンサファイアフォトニクス
光学材料:複雑なナノアキラル複合材料による偏光素子
高分子:大面積ブロック共重合体膜の形成
材料科学:共有結合性有機構造体形成の初期段階の顕微鏡観察
海洋学:海底地形が作る深海の海洋混合
気候科学:気候変動モード相互作用を保持したエルニーニョ予測モデル
生物地球化学:海洋での窒素固定を担う非シアノバクテリア共生菌
古生物学:先カンブリア時代の海綿動物の証拠
社会科学:勤務のハイブリッド化は良い結果を生む
神経科学:寝不足が記憶に及ぼす悪影響
ゲノミクス:細胞を自動で分類する新たな方法
免疫学:免疫インプリンティングに基づいたCOVID-19ブースターワクチン接種の有益性
微生物学:細菌のDdmDE防御系によるプラスミド分解機構
生物工学:「RNAブリッジ」を用いた新しい遺伝子編集技術
構造生物学:トランスポザーゼの働きを調節するATPアーゼ
構造生物学:スプライソソーム構築中のイントロン規定型、エキソン規定型の関係