Nature ハイライト

宇宙:揺ぎ始めた宇宙の標準光源

Nature 443, 7109

Ia型超新星は、信頼のおける宇宙論的距離指標として用いられている。宇宙膨張の加速が見つかり、そこからダークエネルギーの存在が示唆されたのは、この型の超新星の観測から得られた成果である。Ia型超新星が宇宙の「標準光源」として信頼性が高いとされる根拠は、この型の超新星では、決まった質量に達すると一様に爆発が始まるという事実にある。つまり、白色矮星は、質量が太陽質量の1.4倍というチャンドラセカール限界質量に近づくと超新星爆発を起こすと予測されているのだ。ところが今回Howellたちは、高赤方偏移を示す超新星SNLS-03D3bbがこの法則に従っていないことを示した。この超新星は異常に明るく運動エネルギーも小さいので、親星はチャンドラセカール限界質量を超える質量をもっていたと考えられる。したがって、将来の宇宙論的研究で距離を算出する際には、このような事象からの影響がありうることを考慮に入れる必要があるかもしれない。

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