Nature ハイライト 宇宙:揺ぎ始めた宇宙の標準光源 2006年9月21日 Nature 443, 7109 Ia型超新星は、信頼のおける宇宙論的距離指標として用いられている。宇宙膨張の加速が見つかり、そこからダークエネルギーの存在が示唆されたのは、この型の超新星の観測から得られた成果である。Ia型超新星が宇宙の「標準光源」として信頼性が高いとされる根拠は、この型の超新星では、決まった質量に達すると一様に爆発が始まるという事実にある。つまり、白色矮星は、質量が太陽質量の1.4倍というチャンドラセカール限界質量に近づくと超新星爆発を起こすと予測されているのだ。ところが今回Howellたちは、高赤方偏移を示す超新星SNLS-03D3bbがこの法則に従っていないことを示した。この超新星は異常に明るく運動エネルギーも小さいので、親星はチャンドラセカール限界質量を超える質量をもっていたと考えられる。したがって、将来の宇宙論的研究で距離を算出する際には、このような事象からの影響がありうることを考慮に入れる必要があるかもしれない。 2006年9月21日号の Nature ハイライト 化石:砂漠の記憶 医学:眠れぬ夜のパートナー 医学:肥満のルーツ 宇宙:揺ぎ始めた宇宙の標準光源 医学:日焼けで腫瘍を予防する? 気候:2つの海のエルニーニョ 気候:GRACEが告げるグリーンランドの氷量減少 材料:空室あり 発生:ついに見つかった血管芽細胞 医学:HIVと免疫 目次へ戻る