Nature ハイライト 発生:前方へと送る 2007年2月1日 Nature 445, 7127 ショウジョウバエ(Drosophila)の前方決定因子であるbicoid mRNAは、最初に見つかった局在性をもつ運命決定因子として1988年に同定されたが、どのようにしてショウジョウバエの卵の前方に輸送されるのかはよくわかっていなかった。今回U IrionとD St Johnstonが、このRNAとそれを局在させる経路とを結びつける特異的因子がESCRT-II複合体であることを明らかにした。ESCRT-IIは、エンドサイトーシスによって細胞表面から取り込まれたタンパク質のソーティングと分解経路への移送に重要な役割をもち、また発がん抑制因子としても働いている。しかし、bicoid mRNAの局在はエンドソームでのソーティングとは関係ない。またラットのESCRT-IIはRNAに結合するため、mRNAの局在にかかわるこの新発見の機能は少なくとも一部の哺乳類では保存されているらしい。 2007年2月1日号の Nature ハイライト 論説:21世紀の科学は社会科学? 生態:アマゾン生態系を緊急救出 植物:気孔が作られる機構 細胞:線の末端 宇宙:大気を大量に放出する惑星 化学:マクスウェルの悪魔とはり合う 物理:キュービットにかける期待 細胞:痛みセンサーで危険を察知 発生:前方へと送る 目次へ戻る