Nature ハイライト 細胞:痛みセンサーで危険を察知 2007年2月1日 Nature 445, 7127 TRPA1イオンチャネルは痛みの感知に関係するニューロンにみられ、有害物質や刺激性化合物に加えて低温にも反応を示す。マウスでの遺伝子ノックアウト実験によって、TRPA1が生理的に必須な痛みセンサーであることが確認されている。TRPA1がこれほど多様な刺激で活性化される仕組みは不明だが、Macphersonたちは今回、この活性化がシステイン残基の共有結合性修飾によって起こることを明らかにした。タンパク質がシステインと反応する物質によって修飾されるのは珍しいことではないが、こうした仕組みにより活性化されるイオンチャネルはこれが初めてである。求電子性の有害物質や酸化ストレスに応じて起こるTRPA1の活性化には、組織損傷の恐れがあることを生物個体に警告する役割があるのだろう。 2007年2月1日号の Nature ハイライト 論説:21世紀の科学は社会科学? 生態:アマゾン生態系を緊急救出 植物:気孔が作られる機構 細胞:線の末端 宇宙:大気を大量に放出する惑星 化学:マクスウェルの悪魔とはり合う 物理:キュービットにかける期待 細胞:痛みセンサーで危険を察知 発生:前方へと送る 目次へ戻る