Nature ハイライト 医学:ヘルペスウイルスの功罪 2007年5月17日 Nature 447, 7142 ヘルペスウイルスへの感染は、活性化して激しい症状を呈するか、潜伏していてとりあえずは無害な状態のどちらかというのが、これまでの見方だった。しかし、マウスで行われた新しい研究によって、3番目の形が浮かび上がってきた。ヘルペスウイルス(HV)の慢性感染には、直接的な利益があるらしいのだ。マウスへのγHV68の潜伏感染により、リステリア属の菌やペスト菌など、さまざまな病原菌に対して長く続く交差防御が生じるのである。この防御効果は、γインターフェロンが引き金となって全身のマクロファージが活性化されることによる。つまり、潜伏しているウイルスが自然免疫のレベルを決めているのである。そうだとすると、潜伏は能動免疫状態を引き起こすだけでなく、宿主に利益をももたらしていることになる。 2007年5月17日号の Nature ハイライト 神経:タンパク質と取り組むSUMO 疫学:ヒト病原体は多くが動物起源 医学:病原性獲得へのパスポート 宇宙:潮汐作用にとらえられたエンセラダス 物理:シリコンによるスピントロニクスの実現 発生:繁栄の種子 発生:けがで毛が再生 医学:ヘルペスウイルスの功罪 医学:細胞極性を乱すピロリ菌毒素 目次へ戻る