Nature ハイライト

医学:ヘルペスウイルスの功罪

Nature 447, 7142

ヘルペスウイルスへの感染は、活性化して激しい症状を呈するか、潜伏していてとりあえずは無害な状態のどちらかというのが、これまでの見方だった。しかし、マウスで行われた新しい研究によって、3番目の形が浮かび上がってきた。ヘルペスウイルス(HV)の慢性感染には、直接的な利益があるらしいのだ。マウスへのγHV68の潜伏感染により、リステリア属の菌やペスト菌など、さまざまな病原菌に対して長く続く交差防御が生じるのである。この防御効果は、γインターフェロンが引き金となって全身のマクロファージが活性化されることによる。つまり、潜伏しているウイルスが自然免疫のレベルを決めているのである。そうだとすると、潜伏は能動免疫状態を引き起こすだけでなく、宿主に利益をももたらしていることになる。

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