Nature ハイライト

疫学:ヒト病原体は多くが動物起源

Nature 447, 7142

今週号のReview Articleでは、ヒトの病原体の進化という問題が論じられている。感染症の起源に関して、熱帯でみられる10種類と温帯でみられる15種類の感染症についての分析から、最近生じたヒトの重大な感染症の大多数が動物起源であり、狩猟活動などを通した動物との直接の接触が依然として、ヒトに新しい感染症が持ち込まれる主要ルートであることが明らかになった。工業的食糧生産、ワクチン製造、輸血といった近代的進歩のせいで、我々人類は、新しい病原体に対してこれまでにないほど弱くなっているのかもしれない。著者たちは、猟師、動物園の飼育係、野生動物を扱う獣医などといった、野生動物と接触する機会が多い人々を対象に新興病原体の検査を定期的に行うべきだと主張している。このような監視体制をとることで、ヒト集団に新たに入り込む感染症に対し早期に注意を促すことができ、また、これは組織標品の保存にもつながって、後の大流行の起源を突き止めるのに役立つだろう。

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