Nature ハイライト

工学:どんどん進化するNMR

Nature 447, 7145

核磁気共鳴(NMR)は、完全に非侵襲的に液体や固体の構造や動態を探るための最も強力で汎用性の高い手法の1つである。しかし、NMRには本質的に感度が非常に低いという大きな欠点があり、このため極めて小さい試料には向かない。そこで登場したのが、「MACS」すなわちマジック角コイル回転という新技術である。これは、誘導結合を用いてプローブパルスの無線送信とNMRシグナルの無線受信を実現する。つまり、これにより、NMR検出コイルと試料を一緒に非常に高速で回転させることが可能となり、NMR測定が高感度で行えるようになった。この方法により、有機粉末や生体組織の小さい試料からのシグナルはほぼ1桁増幅されるので、特に高スループットの化学分析や生物医学分析に役立つと期待される。

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