Nature ハイライト 宇宙:火星のもうひとつの過去 2007年7月5日 Nature 448, 7149 かつて火星の表面に液体の水が存在したことを示す証拠はたくさんある。現在の火星大気は薄すぎて、液体の水を保つのに十分なほど温暖な気候を作り出す温室効果を維持できない。しかし、過去には二酸化炭素に富んだ大気があっただろうと考える説もある。しかし、炭酸塩がないようにみえることと、二酸化炭素の流出速度が低いことは、そのような説を否定する根拠とされてきた。今回、マーズエクスプレスに搭載された、可視光カメラと赤外線分光計を組み合わせたOMEGAという装置により最近見つかった粘土鉱物の熱力学的研究によって、火星初期の地球化学的条件がもっとはっきりとしてきた。大気中の二酸化炭素レベルはかなり低かったことが明らかになったのである。とすると、火星の温暖で湿潤な気候の維持には、他の温室効果ガス(メタンの可能性が最も高い)がかかわっていたのかもしれない。 2007年7月5日号の Nature ハイライト 医学:siRNAを治療に用いるために 宇宙:カッシーニ探査機が見た土星の衛星ヒペリオン 物理:「ありえない」プラズモン 宇宙:火星のもうひとつの過去 遺伝:pale tremor遺伝子の発見 進化:まねするだけでOK 目次へ戻る