Nature ハイライト 医学:siRNAを治療に用いるために 2007年7月5日 Nature 448, 7149 天然に存在する低分子干渉RNA(siRNA)分子による遺伝子サイレンシングが発見されて以来、これは治療に使えそうだと盛んに考えられるようになってきた。siRNAの全身への送達に関する報告が複数発表されているが、血液脳関門という古くから知られている障壁があるため、こうした標的に脳は含まれていなかった。今回、米国と韓国の研究機関による共同研究で、この関門を抜けてsiRNAを送達する方法が開発された。この方法は、RNAの輸送体として狂犬病ウイルスに由来する短いペプチドを使うもので、siRNAばかりでなく他の種類の薬物にも適している。培養神経細胞内へRNAが送達されただけでなく、脳炎に感染したマウスの脳に抗ウイルス性をもつsiRNAが特異的に送達され、通常は感染で死に至るところを約80%のマウスが生き残った。ヒトでも同じ結果が出れば、この研究は神経疾患に対する非侵襲的な静脈内投与療法の開発につながるだろう。 2007年7月5日号の Nature ハイライト 医学:siRNAを治療に用いるために 宇宙:カッシーニ探査機が見た土星の衛星ヒペリオン 物理:「ありえない」プラズモン 宇宙:火星のもうひとつの過去 遺伝:pale tremor遺伝子の発見 進化:まねするだけでOK 目次へ戻る