Nature ハイライト 物理:秩序と無秩序 2007年8月2日 Nature 448, 7153 実際の物理系や生物系の理論模型は無秩序性をいくらかは考慮に入れることができるが、それは通常、弱い摂動としてしか扱われない。しかし、強磁性体などの系では、物質の性能を支配するのはこの無秩序性である。磁性に無秩序性の効果をうまく取り入れている「ランダム場イジング模型」は、これまで反強磁性体にしか適用されていなかった。今週号でSilevitchらは、強磁性体のランダム場模型を考案したことを報告している。この模型を使うと、すべての磁針が整列するキュリー温度よりちょっと高い点での磁気応答の特異な挙動と、キュリー温度での応答の発散を評価できる。強磁性体は、バルクプローブや画像化による多数の測定が可能であり、そのため本研究はランダム場問題の研究を進展させ、また、この現象を実際に応用するとき重要なステップになる、磁壁ピン止めの強さを調整する方法につながるだろう。 2007年8月2日号の Nature ハイライト 脳:脳損傷後の刺激で意識回復を狙う 遺伝:クロマチン・プロファイリング 細胞:違いをシグナル伝達 細胞:肺癌とALK 物性:グラフェンでのスピン輸送 地球:剪断応力が起こす微動 進化:最古の硬骨魚類の顎と歯 進化:ミクロな規模のマクロな進化 遺伝:新たな糖尿病遺伝子の発見 物理:秩序と無秩序 目次へ戻る