Nature ハイライト 進化:クジラ類の祖先 2007年12月20日 Nature 450, 7173 クジラ類の進化の最初の1,000万年については化石記録からかなりわかっているが、祖先にあたる陸上動物からの分岐については、まだよくわかっていない。新たな研究によって、インドで化石の見つかった小型の原始的偶蹄類であるラオエラ科(Raoellidae)動物が、調べられた限りで初期のクジラ類に最も近い仲間であることが示された。ラオエラ科のIndohyusは、耳と小臼歯の構造、骨の密度、それに歯の同位体組成がクジラ類に近く、他の偶蹄類とは異なっている。こうした指標は、このアライグマ大の動物が一生の多くの時間を水中で過ごしていたことを示唆している。しかし、一般的なラオエラ科動物はおよそクジラらしくない食餌を摂取していたことから、水中に入っていったのは水中生活そのものの魅力によるのではなく、食餌の変化によるものであった可能性がある。 2007年12月20日号の Nature ハイライト 進化:花のたどった道のり 物理:フォノンなんて要らない 進化:クジラ類の祖先 医学:血中の癌細胞を効率よく検出 宇宙:お月さん、いくつ? 工学:目の細かい周波数コム 古気候:温暖化が先か、炭素注入が先か 細胞:Nanogの機能を見直す 生理:試行錯誤で技を磨く 神経:外部刺激に敏感なシナプス 目次へ戻る