Nature ハイライト 物性:非線形ファノ効果 2008年1月17日 Nature 451, 7176 ファノ効果は、2個の競合する光経路間の量子力学的共鳴、あるいは干渉によってスペクトルが歪むことをいう。これは、原子、固体や半導体ヘテロ構造の分光学的研究では広く観測される効果であり、例えば、1個の原子の離散エネルギー状態がその環境中の連続状態とどのように結合するかを示している。この効果は幅広く研究されているが、通常は低い励起パワーの線形領域が調べられていた。今回、半導体量子ドットを使って行われた新しい研究により、非線形ファノ領域の物理学的性質が調べられた。明瞭なファノ共鳴が観測され、共鳴はデバイスの構造や印加電圧の変化によって調整できた。非線形領域でファノ干渉はずっと観察されやすくなった。これは、離散状態と連続状態との結合度の高感度プローブに使えると考えられ、例えば、環境との結合を最小に保つ必要があるキュービットに関連してくる。 2008年1月17日号の Nature ハイライト 聴覚:聴いて覚える 物性:非線形ファノ効果 化学:進展するウランの化学 ナノテクノロジー:DNAで前進する 海洋学:海洋の酸素生産 医学:慢性疼痛治療の新たな標的 目次へ戻る