Nature ハイライト

Cover Story:世界の水:需要と供給を釣り合わせるための努力

Nature 452, 7185

世界中で10億を超える人々が安全な飲み水を手に入れることができず、下水設備をほとんどもたない人々は20億人を超える。激増する人口が生きていけるだけの水を供給する資源、またそれを行う意思を我々はもっているのだろうか。今週号では、世界的な水危機に関する科学的、経済的、また政治的な問題を扱った特集を組んでいる(Introduction p.269, Editorial p.253)。気候学者たちは降雨量は不安定で、夏季の土壌の乾燥がより一般的になると述べており、Q Schiermeierは、乾燥が進んだ地球がとるべき水戦略について論じている(p.270)。農家は、水の使用量を最少にして最大の収穫を上げなければならない。E Marrisが報告しているように、育種家や作物学者、遺伝学者たちは協力してこの目的のために努力しているが、達成は容易なことではないようだ(p.273)。D Fairlessは、大規模な水路ネットワークで河川を連結することにより水供給を全国に再配分するというインドの壮大な計画について調査している(News Feature p.278)。J Bartramは、世界的な目標を向上させ、あらゆる人々が水と適切な衛生設備を手に入れられるようにすべきときだと論じている(Commentary p.283)。多くの国では、飲料水や家庭での消費よりも、農業用の灌漑用水が淡水使用量の大部分を占めており、エネルギー生産に使われる水量も急速に増大している。M HightowerとS Pierceは、エネルギー関連分野で水を効率よく利用するために開発されつつある方法を紹介している(Commentary p.285)。新たな浄水法に関する研究の必要性は緊急のものとなっている。広範囲にわたるReviewでM Shannonたちは、今後数十年間にわたって飲料水を供給することができる(と期待されている)開発中の技術について論じている(p.301)。水はほぼどこにでもあるが、物理学者の間ではその構造を説明するための理論に関する応酬がまだ続いている、とP Ballは述べている(Essay p.291)。また、Books & Artsでは、水の安全確保に関するドキュメンタリーと水が描く意外なパターンからインスピレーションを受けた2人の芸術家に注目している(p.287)。水特集のオンライン版は、www.nature.com/news/specials/water/index.html に掲載されている。

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