Nature ハイライト

生理:脂肪細胞の総数は一生の間変わらない

Nature 453, 7196

肥満は、既に存在する脂肪細胞に脂質が貯蔵されることが主な要因だと考えられているが、脂肪細胞が一生のどの時点で作られるのか、また細胞形成過程での変化は肥満につながるのかどうかなど、それ以上のことははっきりしていなかった。今回、数百人を対象にして、脂肪細胞の総数と、核実験で生じた炭素14のゲノムDNAへの蓄積とを組み合わせて解析することにより、脂肪組織の代謝状況が明らかになった。成人では脂肪量の主要な決定因子は体内の脂肪細胞数だが、その数は小児期から青年期に決まり、成人になってからはほとんど変化しない。意外にも、総数が一定なこの脂肪細胞集団内での代謝回転率は著しく高い。また、早発型の肥満では、脂肪細胞の死亡率も生成率も変化しない。新たに明らかになったこの脂肪細胞の代謝回転現象は、肥満の治療の新しい標的になる可能性がある。

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