Nature ハイライト

行動:「恐怖スイッチ」を切る

Nature 454, 7204

多くの動物にとって、通常通り大胆な、あるいは探索的な行動を行うのか、それとも慎重に防御的なふるまいをするかという切り替えは、生存にとって重要な手段である。この過程に、脳全体が果たす役割はよく知られているが、神経回路のレベルで何が起こっているかはあまりよくわかっていない。「恐怖の消去」と「再発」とは、不快な結果を伴う刺激に対して学習した恐怖反応を捨て去ったり、あるいは再発させたりすることを指し、行動状態の変化に関する仕組みを調べる際の有力なモデルとなる。Herryたちは、扁桃体基底外側部にある2つのニューロン集団間の活動バランスの変化が、マウスで恐怖の強弱状態の切り替えを起こすことを示している。また、Likhtikたちはラットを使って、恐怖記憶を「捨て去る」仕組みについて報告している。これには、扁桃体基底外側部から情報を受ける扁桃体介在ニューロンが関与しているらしい。この研究では、不安障害の治療法となりそうな新しい方法が示唆されている。

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