Nature ハイライト 植物科学:花粉を運ぶねばねばオイル 2004年9月2日 Nature 431, 7004 植物の新しい受粉法が中国の研究者たちによって見つかった。ショウガ科の植物Caulokaempferia coenobialisは、花粉をまき散らすのにぬるぬるした油を使っており、この油が花の中で花粉粒を移動させている。これはなかなか優れた適応であるとD ZhangたちはBrief Communicationsで述べている。この植物は中国南部の陰の多いモンスーン林で生育し、そこでは花粉を運ぶ昆虫が非常に少ない。この植物は、花粉を周囲の仲間の間に飛散させるかわりに、自家受粉を行うことで問題を回避している。ここで登場するのがこの油で、花粉接着物質(pollenkitt)と呼ばれている。早朝、花粉嚢が破れて開くと、そこからこの油も分泌される。油は日中に花全体にじわじわと拡がり、日が傾く頃には油膜が花の雌性器官へ到達する。これは巧妙な方法である。なぜなら、油の自然拡散によっているために、水平な位置をとる花なら自家受粉に重力の助けを必要としないですむからである。 2004年9月2日号の Nature ハイライト 神経科学:失読症は文化に影響される 物理:さあ、雑音を探ろう 植物科学:花粉を運ぶねばねばオイル 医学:細胞生存機構解明の糸口となるタンパク質 進化:謎の原索動物は遺伝子配置解明の鍵を握る? 進化:複雑な環境で被食者は擬装して捕獲を逃れる 目次へ戻る