Nature ハイライト

細胞:「兼業」タンパク質

Nature 465, 7299

毒素性ショック症候群は、ブドウ球菌が放出する毒素によって起こる珍しい病気で、命にかかわることもある。毒素粒子は、病原性アイランドとよばれる個別の遺伝的領域にコードされており、ヘルパーファージによって活性化されないかぎり、アイランドの遺伝子群の大半に働くリプレッサーStlの制御に宿主染色体中でおとなしく従っている。今回、ヘルパーファージ80αの非必須な特異的タンパク質の1つが、病原性アイランドの脱抑制を行うことが明らかになった。これは、病原性アイランドの可動化への第一段階に当たる仕組みである。この働きをするタンパク質は、遺伝学的に全く別の2種類の機能をもつため、「二足のわらじを履いている」ことになる。このような注目すべき進化的適応によって、同様のさまざまな病原性アイランドが、全く無関係なファージタンパク質を選んで可動化を促進している。

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