Nature ハイライト 細胞:細胞間に働く力を測定する 2010年7月8日 Nature 466, 7303 細胞が物理的力に応答する能力は、血圧の調節や細胞接着、細胞移動など、発生や生理に極めて重要である。だが、細胞内分子に働く力のin vivoでの測定は難しく、これがこうした現象の研究を制限する大きな要因となってきた。Grashoffたちは、in vivoで特定のタンパク質にかかる機械的力を測定できる、遺伝的にコードされる蛍光張力検出モジュールを開発し、実際にビンキュリンに使用してみた。ビンキュリンは、接着斑に集合する膜–細胞骨格タンパク質で、細胞接着分子のインテグリン類とアクチンフィラメントを結びつける働きをする。測定データから、ビンキュリンの力に耐える能力が、力がかかった状態で接着斑が組み立てられるか、それとも解離してしまうかを決定するという機構が明らかになった。この新しいバイオセンサーは、力の伝達にかかわるほかのタンパク質にも応用可能だろう。 2010年7月8日号の Nature ハイライト 神経:抗嗜癖マイクロRNA 宇宙:S26星雲に隠されたパワー 気候:農業が埃を増やす 考古:更新世前期の北ヨーロッパ人 進化:鰭から四肢への移行 遺伝:ユダヤ人の系譜 発生:胚の成長の制御 細胞:遺伝子内のメチル化 細胞:細胞間に働く力を測定する 目次へ戻る