Nature ハイライト 神経:抗嗜癖マイクロRNA 2010年7月8日 Nature 466, 7303 長い間コカインを摂取し続けると、脳の構造や機能に複数の変化が生じる。これらは強迫的な薬物探索行動につながる可能性があるが、この過程を調節する機構は明らかになっていない。今回、ラットでの実験から、強迫的なコカイン探索行動の発症の支配に、線条体のマイクロRNAが重要な役割を担っていることが明らかになった。マイクロRNAのmiR-212はコカイン探索行動を低減するが、これがみられるのはコカイン摂取を長期間続けたラットだけで、薬物依存のないラットでは認められなかった。miR-212は、転写因子CREBの活性増幅によって作用するらしいが、CREBはコカインの報酬効果の調節因子であることが知られている。この研究から、非コードRNAの作用を調節する物質が、薬物嗜癖を回復させる効果をもつ可能性が出てきた。 2010年7月8日号の Nature ハイライト 神経:抗嗜癖マイクロRNA 宇宙:S26星雲に隠されたパワー 気候:農業が埃を増やす 考古:更新世前期の北ヨーロッパ人 進化:鰭から四肢への移行 遺伝:ユダヤ人の系譜 発生:胚の成長の制御 細胞:遺伝子内のメチル化 細胞:細胞間に働く力を測定する 目次へ戻る