Nature ハイライト 物性:磁気電気スカーミオン 2010年6月17日 Nature 465, 7300 スカーミオンは、粒子のような特性をもつ安定なトポロジカルな構造であり、もともとは核子を記述するために作られた数学的概念である。しかしこの10年間で、ミクロの世界から宇宙までの全スケールで、スカーミオンという概念が使われるようになった。また、スカーミオンは、磁性体における新規スピン構造の記述に特に有用であることが明らかになった。そして昨年、磁性化合物MnSiとFe1−xCoxSiにスカーミオンが存在することが、中性子散乱実験で確認された。今回、Yuたちは透過電子顕微鏡を用いて、Fe1−xCoxSiで渦巻き状のスピン構造が六角形配列している二次元スカーミオン格子の印象的な実空間画像を得たことを報告している。格子は、幅広い温度・磁場領域にわたって安定であることが示された。Yuたちは、観測されたナノメートルスケールのスピントポロジーが、新しく興味深い磁気電気効果につながるかもしれないと考えている。 2010年6月17日号の Nature ハイライト 宇宙:KBO 55636を見直す 物性:磁気電気スカーミオン 物理:究極の波束制御法 地球:岩石に刻み込まれたアルカリ度 進化:低速レーンに乗るタンパク質 医学:全身性エリテマトーデスでコルチコステロイドの効果を増す 細胞:終止コドンがタンパク質生合成を終わらせる仕組み 目次へ戻る