Nature ハイライト 医学:天然痘蔓延の阻止には「まっすぐ帰宅」が大事 2004年5月13日 Nature 429, 6988 天然痘の大流行のような滅多に起こりそうもない事態の際には、ワクチンの集団接種は必要ないだろう。これは今週号に掲載されているモデル化研究の結論である。大流行の兆しを早急に発見しさえできれば、感染の危険にさらされていて、かつ移動する人々にねらいを絞ってワクチン接種するだけで、疾患蔓延を阻止するには十分だろうというのである。S Eubankたちは、実在の都市社会ネットワーク(米国オレゴン州ポートランドのデータ)を使って天然痘の大流行をモデル化した。彼らは交通シミュレーションを使い、人々が日常生活で特定の場所から特定の場所へと移動する際に起こる身体接触パターンのモデルを作成した。そして次に、天然痘蔓延を防止するために考えられたいくつかの対策法の是非を相対評価した。作成されたモデルから、さまざまな状況で天然痘がどのように広がっていくかが明らかになった。最も重要な要因は、個人が帰宅するのにかかる時間、そして疾患の発見と対応の遅れだった。このことからみて、手際よく疾患が発見できれば、ねらいを絞ったワクチン接種が最も適当ということになりそうだ。 2004年5月13日号の Nature ハイライト 物理:光子の共同作業 医学:天然痘蔓延の阻止には「まっすぐ帰宅」が大事 地球:地球の省エネルギーダイナモ 医学:精子からの贈り物 生態:絶滅の予測は一筋縄ではいかない 生態:極寒の海を泳ぐカレイの秘密 目次へ戻る