Nature ハイライト
Cover Story:力を合わせて生きる:20億年前の化石が示す多細胞生物出現の兆し
Nature 466, 7302
西アフリカ・ガボン共和国フランスビル近郊の黒色頁岩中には、広範囲に化石を含む層がある。その層で発見された保存状態の良好なセンチメートルスケールの化石群から、これまで見つかっている中でおそらく最古の多細胞生物の姿を垣間見ることができた。中原生代(16億〜10億年前)以前の多細胞生物を示す証拠は、極めて希少で異論も多い。今回の新発見は21億年前の堆積物からのものである。この時期は、大気中酸素濃度の上昇からさほど時間が経過しておらず、「カンブリア大爆発」として知られる多細胞生物の急拡大の15億年ほど前である。見つかった化石は、構造化された軟体性生物の、さまざまな大きさおよび形状の遺骸であり、柔軟なシート状の構造を示唆する皺が認められるものも存在する。その形状および規則的構造は、構成の多細胞性を示している。今回の化石群は、マクロ生物スケールでの細胞間シグナル伝達や協調的成長行動に関して、これまで知られている中で最古の証拠である可能性がある。表紙は、マイクロトモグラフィーに基づく画像化により明らかになったマクロ化石標本の構造を示している(Letter p.100, News & Views p.41)。
2010年7月1日号の Nature ハイライト
気候:氷期サイクルを追跡する
物理:LCLSの最初の大当たり
生理:心筋細胞の若返りと心肥大
遺伝:細菌細胞の空間的組織化
宇宙:超新星は標準光源であり続ける
物理:トンネル電子のパンチ力
進化:シャチと同じような殺し屋だったマッコウクジラ類
生態:種のバランスを保つ有機農業
免疫:円形脱毛症の遺伝学
生理:雄の涙に誘われて