Nature ハイライト

医学:oncomiRに依存する腫瘍

Nature 467, 7311

遺伝子発現を制御し、細胞の固有の性質を確立するのに重要な役割をもつ低分子RNAであるマイクロRNA(miRNA)の中には、ヒトのがんと関連付けられているものもある。このようなmiRNAはoncomiRとよばれる。発がんモデルの1つでは、増殖する細胞はがん遺伝子の活性化変異に「依存」するようになると考えられており、腫瘍もoncomiRに依存するようになる可能性が示唆されている。これまで解析されたほとんどのタイプの腫瘍でマイクロRNA-21(miR-21)が過剰に発現していることがわかっており、今回、このmiR-21を条件的に発現するように改変したマウスの研究から、miR-21がプレB細胞リンパ腫を誘導することが明らかになった。悪性細胞はmiR-21が存在しないとアポトーシスを起こして退縮するが、この結果は、悪性細胞がmiR-21の存在に依存している場合に起こると予想されるとおりのものだった。したがって、「oncomiR-21」やほかの同様なmiRNAの薬理学的な不活性化は、治療上有用だと考えられる。

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