Nature ハイライト

古生態:島に取り残された小さなマンモス

Nature 429, 6993

氷河時代の代表的な哺乳動物であるマンモス(Mammuthus primigenius)は、極北地域が温暖化した際にいっせいに姿を消したわけではない。氷河が解けて世界の海水面が上昇したとき、一部のマンモスは島々に取り残され、そこで隔離された個体群として、かなり後まで生き延びていたのである。 今週号ではR D Guthrieが、アラスカ沖のセントポール島には約8,000年前までマンモスが生きていたことを報告している。この研究は、多くの大型動物種が絶滅した更新世末の動物の絶滅や移動を解明するため現在も進行中の、放射性炭素年代測定計画の一環としてなされたものである。 歯の一部の化石から判定したところ、興味深いことに、これらの取り残されたマンモスは普通のマンモスに比べて体が小さかった。こうした小型化は、島で比較的よく見られる現象で、島に隔離された個体群は体サイズが小さくなるよう進化するのである。化石が細かく砕けていたため、これらのマンモスがどれくらい小さかったのかを正確に知るのは難しい。だが、更新世末以降も生き延びた小型マンモスの化石記録は、今回の発見以前にも北極海のヴランゲル島で見つかっていて、この固体郡もやはり海水面の上昇によって島に取り残されたものだった(Nature 362, 336-339, 1993参照)。

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