Nature ハイライト

生理:より安全な心臓蘇生法をめざして

Nature 475, 7355

心臓の除細動は、4,000ボルトに達する単回の高エネルギー電気ショックを用いて行われるのが普通だが、心臓組織を損傷させるおそれもある。E Bodenschatzたちは今回、低エネルギー電気パルスを用いて、心臓細動の原因となる乱れた電気的動態を制御できる仕組みを示している。彼らはイヌを用いた実験で、血管のような心臓組織に内在する不均一性が核形成部位となって電気的活動の波を発生させ、これが不安定領域に作用して組織動態に同期性が回復されることを明らかにした。この「低エネルギー抗細動ペーシング(LEAP)」と呼ばれる新手法は、細動状態の心臓に低エネルギー電場パルスを連続5回与えるもので、標準的な除細動法に比べて平均84%も少ないエネルギーですむ。

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