Nature ハイライト 物理:軽いタッチの量子測定 2011年7月14日 Nature 475, 7355 光を使って単一の原子やイオンを検出する方法では通常、光子のいくらかの自然散乱が起こり、これと測定対象との間にエネルギー交換が起こって測定対象の状態が変化する。このような相互作用で発生する熱は、原子を使った量子情報処理の場合には問題になる。しかし、この種のエネルギー交換は量子力学の基本的な必要条件ではない。今回J Reichelたちは、原子を光共振器中に閉じ込めると、自然散乱の問題を回避できることを明らかにしている。原子は共振器と強く結合するため、光と共振器との相互作用を検出すれば、原子の状態を調べることができる。実際には、この光子は共振器に入らずに原子を測定する。この方法は、基礎科学的な関心を集めるだけでなく、これによって最近提案された中性原子の量子計算スキームを簡単にできると考えられ、また閉じた遷移がない分子や原子の高感度検出が可能となるかもしれない。 2011年7月14日号の Nature ハイライト 化学:自然から学ぶ天然物合成 再生医療:脊髄損傷後の神経軸索再生 細胞:miRNA上で距離を測る 宇宙:木星が段取りをつけた惑星形成 物理:軽いタッチの量子測定 気候:土壌からのガス放出は気候変化の自然の緩衝作用を減らす 医学:ROSを介して作用する抗がん化合物 生理:より安全な心臓蘇生法をめざして 目次へ戻る