Nature ハイライト
気候:とらえにくいメタン放出源を追跡する
Nature 476, 7359
温室効果ガスであるメタンは気候にかなり大きな温暖化をもたらしており、メタンより重要な影響を及ぼすものは水蒸気と二酸化炭素だけである。しかし、大気中のメタン濃度に影響を与える要因は十分に解明されていない。そして、20世紀中盤におけるメタン濃度の急激な増加は世紀の変わり目頃にしだいに(しかし一時的に)横ばいになったが、このような増加速度低下の理由については、いまだに論争が続いている。今回、2つの新たな研究がこの謎を解明しているが、得られた結論は相いれないものだ。F M Kaiたちは、メタンの濃度と同位体的特徴の北半球と南半球の間での違いを測定し、湿地帯での微生物活動の低下が主な原因であったと結論している。稲作農業のやり方の変化によって、北半球の傾向の約半分が説明されるようだ。一方、M Aydinたちは南極の氷の中に閉じ込められたエタンの測定と簡単な大気モデルを組み合わせ、化石燃料の生産によるメタン放出の減少が鈍化の原因であるという結論を出している。News and Viewsでは、M Heimannがこれら2つの研究の相異なる結果について考察している。
2011年8月11日号の Nature ハイライト
遺伝:アフリカ系アメリカ人のゲノム地図
量子情報科学:マイクロ波によるイオンのマイクロ管理
物性:データ記憶の法則を書き換える
気候:とらえにくいメタン放出源を追跡する
環境:草地は二酸化炭素の増加に応答する
進化:顎口類の優占までの長い道のり
細胞:繊維芽細胞からニューロンを作る
構造生物学:セントロメアのヌクレオソーム