Nature ハイライト

遺伝:マウスゲノムに見られる差異

Nature 477, 7364

実験用マウスは生物医学研究に広く使われてきた。マウス参照ゲノムの概要塩基配列は2002年に発表されたが、その差異に関する研究はまだ少ない。今週号の2本の論文は、こうした空白部分を埋めるのに大いに役立ちそうだ。1つ目の論文では、一般に使用されているほとんどの近交系マウス系統とそれらの祖先系統を含む主要な17系統のマウスゲノムについて、塩基配列を解読および解析した結果が報告されている。これにより、広範な遺伝的差異の存在が明らかになり、機能的変異の分子的性質を知る手がかりに加えて、実験用マウスの系統発生史も得られた。このデータは、ゲノム機能解析の新時代に向けた重要な情報源となるだろう。2つ目の論文では、従来から広く使われてきたマウス近交系13系統と野生種由来の近交系4系統のゲノムに見られる構造的変異の全容を記述し、それらの変異の多くを塩基対レベルの分解能でマッピングしている。構造的変異は広く存在するが、それにもかかわらず、表現型の差異に及ぼす影響が比較的小さいことが明らかになった。

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