Nature ハイライト

発生:マイクロRNAの初期胚での働き

Nature 449, 7159

形成体組織の生成は胚発生において重要な現象である。この細胞集団は一般にシュペーマン形成体と呼ばれ、トランスフォーミング増殖因子βのリガンドであるNodalによるシグナル伝達が非対称になることによって、発生中の胚の背側に誘導される。この非対称性の本質についてはあまりわかっていない。今回Martelloたちは、この過程にマイクロRNAがかかわっていることを示している。miR-15とmiR-16という2つのマイクロRNAは、Nodalの受容体であるAcvr2aの発現に背側への偏りを作り出すことによって、形成体のサイズを制限する。マイクロRNAは遺伝子発現制御を助ける短い一本鎖RNA分子であり、これらの分子がもつ多種多様な機能については探索が始まったばかりである。今回の研究は、マイクロRNAが胚パターン形成の非常に重要な段階で働いており、β-カテニンとNodalシグナル伝達系をつなぐミッシングリンクにあたることを示している。

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