Nature ハイライト

生理:力を感知するピエゾイオンチャネル

Nature 483, 7388

多くの組織が、機械力を感知し応答することができ、この機械感受性は接触、痛み、聴覚喪失、高血圧などの多くの生物学的過程や疾患にかかわりがあることが示されている。機械的力の生物学的シグナルへの変換、つまり機械シグナル伝達には、特殊化されたカチオンチャネルが関与すると考えられている。Patapoutianの研究グループは2つの論文で、動物から植物、原生動物の間で保存されている大型の膜貫通タンパク質である「ピエゾ(Piezo)」ファミリーが、長年探されてきた機械力によって活性化されるイオンチャネルであることを立証している。まずCosteたちは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のピエゾタンパク質が、ヒト胎児腎臓細胞で機械刺激によって活性化されてカチオン電流を生じることを示し、これが機能的に保存されていることを確認した。マウスとショウジョウバエのピエゾタンパク質が誘発する、機械刺激によって活性化される電流の比較から、小孔が独特の特徴を持つイオンチャネル活性が明らかとなり、ピエゾが真のイオンチャネルであることが示唆された。Kimたちは、ピエゾがショウジョウバエで機械的痛みの感知に必須であることを示し、ピエゾがin vivoで生理的な機械受容器に相当するものであることを初めて実証している。

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