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医学:脳卒中後の脳損傷を軽減

Nature 483, 7388

脳卒中後の虚血による脳損傷を軽減できる有効な治療法は、げっ歯類モデルで見つかった有望と思われる手がかりをもとに何十年も研究が行われてきたにもかかわらず、現在のところ存在しない。Tat-NR2B9cは、シナプス後肥厚部タンパク質95(PSD-95)とNMDA受容体の間の相互作用の妨害により、神経に有害なシグナル伝達を低減させる化合物であり、有効な神経保護剤となることが脳卒中の細胞およびげっ歯類モデルですでに明らかになっている。今回M Tymianskiたちは、げっ歯類よりもさらにヒトに条件が近いカニクイザルを使ってTat-NR2B9cの有効性を検討した。Tat-NR2B9cを動脈閉塞後3時間以内に投与した場合には、脳卒中で起こる行動的および神経解剖学的障害が軽減された。この結果は、PSD-95の阻害が神経保護戦略の1つとなる可能性を示している。

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