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進化:ハナアブ類の擬態が不完全な理由

Nature 483, 7390

ハナアブの一種(上)とその擬態モデルであるスズメバチ(下)。
ハナアブの一種(上)とその擬態モデルであるスズメバチ(下)。 | 拡大する

Credit : Steve Marshall

ベーツ型擬態をする生物種は、捕食者に対して無害なために被食者となる可能性がありながら、有毒だったり食味が悪かったりする被食種に姿を似せることで身を守っている。ベーツ型擬態種には擬態を向上させる方向に強い進化圧がかかると予想されるが、意外にも、かなり中途半端な擬態が見られる例が多い。新しい研究で、毒針を持つ膜翅目種(ハチ類)をさまざまな完成度で擬態する無害なハナアブ類について、形態解析および系統解析が行われた。そして、擬態の不完全さは人間から見てそう感じるだけにすぎないとする仮説や、不完全な擬態を行う種は実際には複数の膜翅目種を同時に模倣することで危険を分散しているとする仮説など、いくつかが棄却された。その代わりに、不完全な擬態と小さい体サイズの間に関連性があることがわかり、不完全な擬態を行う種は単に、さほど強い選択を受けていないだけであることが示唆された。

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