Nature ハイライト

物理:とらえにくい準粒子を観測する

Nature 485, 7400

リチウム原子(黄色)のフェルミ海と共鳴相互作用するフェルミオンカリウム不純物(中央青色)。
リチウム原子(黄色)のフェルミ海と共鳴相互作用するフェルミオンカリウム不純物(中央青色)。 | 拡大する

Credit : Harald Ritsch

強い斥力相互作用を持つフェルミ気体の準安定状態は基本的な関心が持たれているが、そのような系は、崩壊に対して本質的に不安定であるため、実現するのは非常に難しい。今回、2つの研究グループがこの障害を乗り越えて、理論的に予測されていた斥力フェルミポーラロンを検出したことを報告している。Kohstallたちは、リチウム原子のフェルミ海と共鳴相互作用する極低温カリウム不純物の三次元系について調べた。こうした相互作用が持つ性質によって斥力領域が安定となり、長寿命で準安定な斥力ポーラロンが検出された。Koschorreckたちは、カリウム原子の二次元スピン不均衡フェルミ気体における引力フェルミポーラロンと斥力フェルミポーラロンの両方を調べ、ペアリング転移を示す証拠を見いだした。これら2つの研究から得られた結果は、強磁性量子相のような極低温フェルミオン原子のエキゾチック状態の生成を期待させるものだ。

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