Nature ハイライト

医学:BRAF/MET阻害剤を黒色腫の治療に使う

Nature 487, 7408

腫瘍形成の原因となる遺伝的変化や、個々の患者の薬物に対する反応性を決定する因子の解明が始まったことで、分子標的薬抗がん剤治療が臨床で広く使われるようになってきた。しかし、分子標的薬の臨床試験のほとんどで、耐性が難問となっている。2つの相補的な論文が、腫瘍微小環境からの増殖因子の分泌が、さまざまな抗がん剤に対する耐性の原因になっている可能性を明らかにしている。こうした増殖因子は、余分なシグナル伝達経路を活性化して腫瘍の増殖を促進できるらしい。2つの論文は共に、黒色腫の患者では間質で肝細胞増殖因子が産生され、これがMETシグナル伝達系路の活性化により、ベムラフェニブなどのBRAF阻害剤と呼ばれる種類の薬剤に対する耐性を与えることを立証している。BRAF阻害剤とMET阻害剤を組み合わせると耐性を克服できることも示されており、黒色腫患者でこの併用療法を検証すべきだと考えられる。

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