Nature ハイライト

気候:北極圏の氷から放出される炭素

Nature 489, 7414

北極圏の永久凍土層の融解が起これば、相当な量の炭素が大気中に放出される可能性がある。近年の北極圏の温暖化はこれまでの予測を数度上回っていることから、将来の温暖化に対する永久凍土層の脆弱性を明らかにすることが重要である。今回、Ö Gustafssonたちは、地表に露出している年代の古い氷床複合体堆積物と、関連する浅い海中の永久凍土層からの炭素の大量の放出が、東シベリア北極棚(ESAS)の堆積性炭素の収支を支配していることを示している。この研究はさらに、氷床複合体の永久凍土層に含まれるかなりの量の古い炭素が活性化されており、その約3分の2が、大気中へ二酸化炭素として放出され、残りは大陸棚の堆積物に再貯蔵されていることも示唆している。

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