Nature ハイライト
気候:南極半島の温暖化の記録
Nature 489, 7414
過去20年間に南極半島で観測された氷床の劇的な崩壊は、気候変動を表す象徴的な姿となっている。それにもかかわらず、この地域における過去の気候は、これまで数世紀しかさかのぼって定量的に復元されていない。今回、南極半島の北東先端部の沖にあるジェームズ・ロス島における、重水素に基づく完新世の気温変動の長期的な記録が示されている。完新世初期の最高温期の後、急激な寒冷化が起こった約2500年前まで気温は安定していた。温暖化は約600年前に始まって、気温はしだいに上昇し、20世紀には気温の上昇速度は急速ではあるが前例のないほどではない程度になった。この気候記録は、最近の温暖化を長期的な自然変動との関連で評価し、将来の温暖化によって棚氷が南極半島に沿って南に向かって不安定化する可能性があることを示唆している。
2012年9月6日号の Nature ハイライト
遺伝:ヒトDNAのユーザーガイド
遺伝:接近可能なクロマチンのマップ
遺伝:転写因子のフットプリント
遺伝:ヒトの調節ネットワークの構造
遺伝:転写の全体像
遺伝:遺伝子プロモーターの長距離相互作用の全体像
宇宙:近傍宇宙にあるリチウム7の探索
材料:長く伸びるヒドロゲル
気候:北極圏の氷から放出される炭素
気候:南極半島の温暖化の記録
行動:ショウジョウバエの試行錯誤学習