Nature ハイライト
再生医学:細胞移植による心臓修復
Nature 489, 7415
胎児心筋細胞の移植は、心臓の力学的性質にはあまり大きくない影響を及ぼすだけであるにもかかわらず、梗塞を起こした心臓の機能を改善できるというこれまでの知見をさらに拡大する研究が報告された。この研究では、心臓傷害のモルモットモデルを開発しているが、それはモルモットの心拍数はヒト心筋細胞が許容できる上限であり、モデルとして用いられることが多いマウスやラットの心拍数よりはずっと低いからである。そして、ヒト胚性幹細胞に由来する心筋細胞がモルモット心臓に電気生理学的に結合することができ、不整脈から心臓を保護できることが示された。この研究は、培養ヒト胚性幹細胞から作られた心筋細胞の成体心臓への統合が可能であることを示した初めての納得できる証拠であり、心血管系疾患に対する細胞補充療法の臨床応用へ向けた重要な一歩と言える。