Nature ハイライト

発生:幹細胞がとりうる2通りの経路

Nature 490, 7421

ゲノムの大部分では、対立遺伝子の両方が発現している。つまり、2つの染色体上の同じ遺伝子が転写されているが、いくつかの部位では母系あるいは父系のどちらかの染色体の遺伝子のみが発現しており、そのような部位の1つが免疫グロブリン領域である。今回、初期の造血幹細胞では、個々の細胞が2つの対立遺伝子のどちらでも発現できることが明らかになった。しかし、このような細胞は、リンパ系細胞の発生が進むにつれて、父系あるいは母系のどちらかの対立遺伝子のみを発現するようになり、この選択はその後もクローン的に受け継がれる。このような拘束は、2つの対立遺伝子間での複製時期パターンの変化と相関している。この機構は、2つの異なる状態を作り出す方法を持たせることで、幹細胞にこれまでに知られていなかった形の幹細胞可塑性を付与している。

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