Nature ハイライト
生化学:タンパク質の設計を適応可能なものにするのは共進化するセクターである
Nature 491, 7422
タンパク質進化の統計的な解析から、共進化するアミノ酸のまばらなネットワーク(セクターと呼ぶ)が三次元構造と機能の核心となるという、天然タンパク質のための「設計構想」が示唆されている。タンパク質のこのような性質と、セクターに基づく構造の関係をよりよく解明するため、典型的なPDZファミリータンパク質であるPSD95pdz3について、各位置を個別的にほかのすべてのアミノ酸で置換するという、網羅的な単一変異研究が行われた。数十のアミノ酸からなるPDZドメインは、動物や植物およびほかの生物で、多数のシグナル伝達タンパク質中に保存されている。変異解析により、セクターの占める位置は機能に関して変異感受性である一方、セクターでない部位は置換に対してより耐性が高いこと、そして新たな結合特異性への適応は、セクター内残基の変化を介してだけ起こることが示された。これらの結果は、タンパク質の構造をロバストなものにしながら、選択条件が変わった際には迅速に機能を変化させることも可能にする仕組みを明らかにしている。