Nature ハイライト

遺伝学:正面衝突は遺伝子進化を促す

Nature 495, 7442

細菌の遺伝子のほとんどは、複製時のリーディング鎖のほうにコードされているが、これは遺伝子がラギング鎖にコードされていた場合に複製装置と転写装置の間で起こる可能性がある有害な正面衝突を回避するためだろうとされている。今回、枯草菌(Bacillus subtilis)では広く見られるコア遺伝子の17%がラギング鎖にあること、こうした遺伝子はリーディング鎖上の遺伝子に比べて、同じアミノ酸部位での点突然変異率や収束変異率がより高いことが報告された。遺伝子長と遺伝子発現レベルを考慮すると、複製や転写の際の正面衝突は同一方向での衝突よりも突然変異を起こしやすいと考えられる。そのため、細菌だけでなく、おそらくは他の生物でも、複製転写の際の正面衝突は特定の遺伝子を標的とした適応進化の機構として使われている可能性があると著者たちは論じている。

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