Nature ハイライト
気候:赤道上部の大気の風速の変化傾向
Nature 497, 7450
高度17 kmより上の空の熱帯大気の流れは、東風と西風が約2年おきに交代する準2年周期振動(QBO)に支配されている。QBOは熱帯域の平均上昇流と関連していると考えられており、気候モデルでは、平均上昇流は地球温暖化に応答して強まるはずであると示唆されている。QBOの変化と平均上昇流の変化のどちらについても、観測による裏付けはこれまで不十分であった。今回、河谷芳雄(海洋研究開発機構)とK Hamiltonは、1953〜2012年のラジオゾンデによる風のデータを解析し、QBOの振幅が過去60年間にわたって弱まっており、その原因がおそらく熱帯域下部成層圏における上昇流の増加であることを見いだしている。この上昇流の長期的な変化は、気候に関連する成層圏の化学的性質の変化の予測にも影響を与える可能性がある。