Nature ハイライト
医学:インフルエンザにおけるTLR4アンタゴニストの防御作用
Nature 497, 7450
インフルエンザウイルスは進化し続けており、既存の抗ウイルス治療に対する耐性が広がっていて、新規な抗インフルエンザ療法の開発は緊急を要する問題となっている。これまでの研究から、マウスではインフルエンザが誘発する急性肺障害やサイトカイン産生、さらに全身にわたる影響をTLR4シグナル伝達が仲介することが明らかになっている。S Vogelたちは今回、合成TLR4アンタゴニストであるエリトランをインフルエンザウイルスへの感染後6日までに投与すれば、マウスが死なないで済むことを報告している。既存の抗ウイルス薬は感染3日以内に投与しなければ、効果が発揮されない。この研究は、TLR4アンタゴニストがインフルエンザに対して有効と考えられ、また感染を効果的に治療できる期間を延ばせる可能性があることを示唆している。